ビットコインの分裂!なぜ仮想通貨は分裂を引き起こすのか

ビットコインの分裂!
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ビットコイン分裂!?
仮想通貨関連のニュースを見て、「仮想通貨が分裂で市場が混乱」という見出しに首を傾げた人も多いのではないでしょうか?

「通貨が分裂?」

「1,000BTCが500BTCずつに分かれた?」

報道をみてもどういうことなのかイマイチよくわからない…という人がほとんどかと思います。そこで今回は、ビットコインをはじめとする仮想通貨の分裂についてを、くわしく解説していきます。

少々技術的な用語が出たり…政治的駆け引きの話しが出たり…しますが、最後までお付き合い下さい。仮想通貨の仕組みを勉強していきましょう。
 
 
 

仮想通貨分裂の歴史

最近では2017年8月にビットコインが分裂し、ビットコインキャッシュが誕生しました。その後、2017年10月にビットコインが再び分裂し、ビットコインゴールド(BCG)が生まれています。

アルトコインで見ると、イーサリアムからイーサリアムクラシックが2016年に起きたハードフォークによって生まれています。こうした分裂は仮想通貨の特徴のひとつです。

既成の通貨(ドル・円など)に、このような分裂はありませんが、デノミ(デノミネーションの略称)と呼ばれる通貨の呼称の変更や通貨単位を変更する事は、歴史上または経済政策上ありました。

日本では明治維新に伴い、両から円へ通貨の呼称が変わりましたし、21世紀になってからは急激なインフレを回避する手段としてジンバブエでデノミが実施された例があります。
デノミという一般に通貨の呼称変更や単位の変更の政策は、その国の経済に一時的な混乱をもたらし、デメリットのわりにメリットを享受する人が少ないので安易に実施されるものではありません。

ところが、仮想通貨の世界では、誕生から2回も分裂したビットコインのように頻繁に分裂という事態が発生します。
 
 
 

分裂とは?

仮想通貨の分裂 フォーク

日本語に翻訳すると「分裂」になりますが、仮想通貨の分裂をイメージするなら、パスタを食べる時に使う、あの食器を思い浮かべて下さい。そうです、「フォーク」です。

手元は1本なのにパスタをからめる部分はいくつかに分かれている、あのフォークです。
仮想通貨の分裂にしばしば使われる「ハードフォーク」、「ソフトフォーク」もあの食器をイメージすれば理解しやすくなります。

フォーク、つまり分裂はそれまでひとつだった仮想通貨がある時点を境にいくつか(通常は二つ)に分かれます。ビットコインからビットコインキャッシュがその後、ビットコインからビットコインゴールドがフォーク(分裂)しました。

もしかしたら、再度分裂する可能性も否定出来ません。その理由を次章で説明します。
 
 
 

分裂の理由(ビットコインの場合)

仮想通貨が分裂する原因は、多分に技術陣内の意見の違いとそれを取り巻く利権保持者(ステークホルダー)の討論から発生します。ビットコインの場合を例にご紹介しましょう。

ビットコインはご存知のように2010年に誕生し、瞬く間に仮想通貨市場のスタンダードにまで昇り詰めました。元々、既存通貨が苦手とする国際決済のスピード向上や複数決済での利便性向上を目的に、純粋に技術者の視点で設計・開発・公開されたものです。

しかし、その利便性ゆえに将来性が投資・投機という手段に置き換えられ、市場に登場すると価値が暴騰しました。そして価値が上がることでさらに投資家の目を集め、人気が人気を呼ぶ現象となり結果的に決済手段としてより、投資目的での取引が増えてしまったのです。

投資目的の取引が増えた事で、当然のようにビットコインのインフラであるネットワーク上でのデータ量も爆発的に増え、データ量の増大に伴う処理遅延も起こりました。これがまず、第一の発端です。

処理遅延が起きると取引している世界中のビットコインユーザーからクレームが上がります。自分の決済が終わらない。相手先に送金出来ない。こうしたクレームや処理遅延をなんとかしようとビットコインを開発した技術陣は打開策を考えたのです。

そして、打開策として打ち出された方針は二つに集約されました。これが、分裂第二の発端です。

処理遅延対策として出された二つの案を概要で説明すると、

A案:ビットコインの取引データを圧縮する(分裂なし)
B案:ビットコインの取引データのサイズを大きくする(分裂あり)

 
 
B案の方法をとると、ビットコインでそれまで記録し続けてきた取引データの記録を引き継げないため、新しくビットコインを元にした仮想通貨が生まれることになります。

ビットコインの分裂の原因は、この取引データのサイズ(データ許容上限)の規格を拡張するか否かの対立にありました。ビットコインをマイニングするマイナーと呼ばれる人たちの得られる報酬は約4年に1度ずつ半減していくように設定されています。マイナーにとっては今後取引手数料収入が目減りする事は避けたい。

取引データを大きくして、ビットコインが分裂することは、マイナーが得られる取引手数料収入もその分上がることを意味します。結果、事業としてマイニングを行っているマイナーたちは自分たちの利益のために、ビットコイン分裂を伴うB案を推していました。

しかし、ビットコインを開発した技術陣は、元々ビットコイン(仮想通貨)が目指す世界観である、非中央集権的思考を重視しています。それには、取引データを圧縮するA案を推したい。

この利益追求するマイナーたちと、利便性を追求する技術陣の対立こそビットコインの分裂騒動の原因なのです。

冒頭に政治的駆け引きの話しが出ると述べましたが、まさにこの技術陣と一部のビッグマイナーたちの政治的駆け引き、利益誘導合戦がビットコイン分裂の内側でした。

今後も新しい技術は次々と開発され、実際に導入されるでしょう。しかし、既得権益保護を主張する勢力は保守的になりがちで、しばしば新しい技術に否定的です。一方、市場は新しい技術を好意的に受けとめます。

こうした利益と技術の対立軸はいつの時代にも、どの技術分野でも起こってきました。
かつてのビデオ規格であるVHS対ベータ、白熱灯対LEDなど枚挙に暇を問いません。

こうした過去の事例からも、仮想通貨の世界でも今後も分裂の騒動は起こり得ます。
利便性と利益追求は永遠に対立するものなのでしょう。
 
 
 

「ハードフォーク」と「ソフトフォーク」

ビットコインからビットコインキャッシュが分裂したのは、「ハードフォーク」と呼ばれます。

ハードとソフトの違いはどこにあるのか?

というご質問は当然あるでしょう。
一言でハードフォークとソフトフォークの違いを表すなら、処理遅延対策として取引データの記録方法が変わっても、古い取引データが新しい記録方法に従がって認識出来るのがソフトフォーク。

ハードフォークは、古い取引データは新しい記録方法で認識出来ない。
つまり、認識が難しい(出来ない)=ハード、認識出来る=ソフト(易しい)と考えて下さい。

ビットコインは処理遅延対策として取引データのサイズを大きくする選択をしました。これはハードフォークとなり、それまでのビットコインからビットコインキャッシュという新しい記録方法による仮想通貨が誕生せざるを得ない結果となったのです。
 
 
 

仮想通貨の分裂が市場に及ぼす影響

仮想通貨市場は高騰

仮想通貨市場でソフトフォークが起こるというニュースが出た際に、どのような市場変動が起きるのか、というのは誰もが気になるところでしょう。

基本的には、ソフトフォークは新しい技術の導入なので、その仮想通貨への期待感が高まり、取引市場での価格が上昇する動きを見せます。

例を挙げれば、Segwitという新しい技術を導入することが決定した2017年4月にはモナコインが高騰しました。Segwitはソフトフォークを実現する技術です。

反面、ビットコインのソフトフォーク・ハードフォーク問題のように不安定な状態になると市場価格は投資家の不安心理から下落します。それでも、ビットコインにもSegwitの導入決定が報道された後には市場価格は高騰を見せています。

仮想通貨がどのような分裂をするのか、あるいは分裂するのか否か、という報道や情報は仮想通貨市場に大きな影響を一時的にもたらします。こと仮想通貨取引においては、いかに信頼性の高い情報を入手できるかが生命線となってきます。
 
 
 

仮想通貨が持つ永遠の課題

仮想通貨の分裂について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

そもそも、仮想通貨は利用者の快適で利便性の高い取引を実現するために開発されたものです。そして、仮想通貨はコミュニティという緩い団体によって支持されています。
仮想通貨で言うコミュニティとは

・開発者(技術陣)
・マイナー
・事業者(取引所事業者)
・ユーザー(決済取引する人たち)
・投資家

で成り立っていると言えます。

中央管理者のいないプロジェクトやコミュニティの場合、全ての人が対等なステークホルダー(利権保持者)になるのが理想です。そして、ステークホルダーたちは自分自身でどのように仮想通貨に関わっていくのかを自らの意思で決定します。

例えば開発者であれば開発の規約やルールに則って開発をしますが、どのようなルールにした方がその仮想通貨のセキュリティは保たれるのか、より効率の良いシステムになるのか、を技術陣の立場で考えます。

一方、事業者はどのような仮想通貨をユーザーに届けたいか、マイナーはどの仮想通貨をマイニング(採掘)していくのか、ユーザーはどの仮想通貨を利用するのか、などそれぞれがその思惑で行動します。

仮想通貨のコミュニティはそれぞれの役割が異なり、誰かが欠けてしまってもその仮想通貨が広く普及する事はありませんし、市場や実世界で存続していく事もできません。

中央管理者がいないので自分だけの意思を主張したり行動したりする事ができますが、コミュニティの存在自体は不可欠なものなので、自分勝手な事をしてコミュニティ内の他の人を無視も簡単にはできない、という特徴を仮想通貨は持っているのです。

この事が仮想通貨のコミュニティ運営を難しいものにさせ、ひいては仮想通貨の進歩・運営にしばしば問題を起こすのです。非中央集権的な世界観を目指す仮想通貨が持つ永遠の課題かも知れません。


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