仮想通貨の取り扱いによって利益を手にしたなら、今後の税金についても留意しなければなりません。仮想通貨利益にかかる税金は2つあります。
所得税と住民税です。
確定申告を行い所得税を納付することは知っているかたも多く、税務署へ確定申告を行い、申告した利益を元に所得税額が決まってきます。確定申告については当サイトでもいくつか取り上げています。
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そして、所得税とは別に住民税の納付も必要で、確定申告した所得を元に住民税の納付額が決定します。今回は、住民税の仕組み、また所得に対してどれほど住民税がかかるのか、そして無申告だった場合のリスク等について詳しく説明してまいります。
所得に応じて住民税もかかります
投資熱が高まるばかりの仮想通貨市場に先に目をつけた人ほど、大きな利益を手にしていることだろうと思います。いくら仮想のものであろうと、実利益を手にしているのですから確定申告をして所得税を納税しなければなりませんが、これ以外にも住民税がかかってきます。
2017年を例とすれば、2017年1月1日から12月31日までに得た利益について2018年3月15日までに確定申告をおこない、所得税を納税することとなりますが、それから2~3カ月ほどすると住民税の納付書が送られてきます。
住民税(都道府県民税と市区町村税の合計)の税率は前年所得の10%と一律されており、基本的には確定申告の内容をもとに市区町村が税額を計算してそれぞれに通知が来るようになっています。
住民税とは
住民税は、その年度の1月1日の住所地の市区町村と都道府県に納めることとなります。
年度の途中で他の地域に引っ越しても住民税の支払先は変わりませんし、それまで分割で支払っていた住民税の納付義務がなくなるわけでもありません。その年度に届いた住民税を年度内に払い終えることが原則となっています。
住民税の内訳は、都道府県民税と市区町村税があり、両者を合わせて前年所得の10%と決まっています。所得税とは異なり、市区町村が勝手に算出してきますので、例外を除き、申告手続きなどの手間は生じません。
課税対象が前年の所得金額となっているため、転職やリストラなど収入が下がった状況となれば支払いが辛い税金となっていますが、会社都合による退職をはじめとする特別の事情により個人住民税の全額負担が困難だと認められる場合には、申請により減免・免除されることもあります。
これを仮想通貨取り扱いに当てはめて考えてみると、トレード結果が思わしくなくても特別の事情とは解釈されないでしょう。このため、所得税と住民税を支払うためのお金は事前に取り分けておき、それらが消失してしまわないようにすることが大切です。
税金を支払わない人に対して税務署がどのような手段に出てくるかはよく知られていますが、これは自治体の担当部署においても同様です。どの市区町村においても税収不足を懸念している世相より、税務署よりも市区町村の税務課のほうがフットワークが軽いため、決して住民税を軽視すべきではありません。
確定申告と住民税の関係
ここで今一度、確定申告と住民税の関係についておさらいしておきたいと思います。
皆さまもご存じのとおり、所得税は毎年3月15日までに税務署に確定申告して納税するものです。かたや住民税は市区町村から通知がくるものであり、申告の必要があれば役場の税務課などにおこなうこととなります。
このように、所得税の確定申告と住民税の申告は、まったくの別物ですが、基本的に市区町村宛の申告は必要ありません。その理由は、確定申告や年末調整をすることで、税務署から市区町村へと申告内容が通知されるためです。
住民税の申告は原則として不要ですが、一部で例外もあります。以下を参考にご自身がどちらに該当するのか確認してみてください。
【住民税の申告が不要な場合】
所得税と同じように、住民税も前年度の所得を課税対象として税額が決まるため、個人それぞれが申告をしなくてはなりません。しかし、所得税の確定申告をしている場合、会社で年末調整をしている場合は、税務署から申告内容が市区町村へ送られているため、改めて住民税の申告をする必要はありません。
市区町村は税務署から受け取った申告内容をもとに住民税額を計算し、納付書を送ってきたり、会社へ通知してきます。
【住民税の申告が必要な場合】
確定申告をしておらず、次に該当する場合には個別に住民税の申告が必要になります。
1. サラリーマンで、給与所得以外の所得が20万円以下のため確定申告をしていない場合
2. 前年度中に退職しており、年末調整をしていない人
3. 400万円以下の公的年金収入のみで、確定申告をしなくてよい人
これらに該当するなどの場合には、住民税の申告をしなければなりません。申告期限は所得税の確定申告と同じく3月15日までとなっています。
仮想通貨で得た利益の場合、もっとも当てはまりそうなものは上記1の「サラリーマンで、給与所得以外の所得が20万円以下のため確定申告をしていない場合」だろうと思います。
所得税の申告は得た利益が20万円以上の場合におこなわなければなりませんので、それについて知っていたとしても、住民税申告についてはそれほど浸透していないように思われます。
実際のところ、市区町村は税務署頼りとなってしまっているため、自治体の税務課から積極的なアプローチを受けること自体がほとんどないと思いますので、あくまで紳士協定的な運用といえるかもしれません。
上記した以外に、もうひとつ住民税の申告をしなければならない場合があります。よくありがちなパターンなのですが、配偶者の扶養に入りながら働き、配偶者控除を受けるために、給与収入を103万円以下に抑えている場合です。
例えば、旦那さんの扶養に入りながら働きに出て、旦那さんが配偶者控除を受けられるようにしている主婦の方はかなり多いと思います。所得税と住民税では、基礎控除額が違うのです。
前者が38万円である一方、後者は33万円で、5万円の差があるのです。このため、住民税(所得割)は、給与収98万円からかかることになるので、申告しなければ未納状況となってしまいます。
主婦(夫)の場合、住民税はどうなるのか再確認
主婦の人で仮想通貨を取り扱ってみたところ、思わぬ利益を得られた人も少なくないと思います。また、働き方が自由なものとなっており、女性の社会進出も一般的になっている状況下、主夫として仮想通貨取引を片手間にしている人もいらっしゃることでしょう。
まずは仮想通貨を関係なしに考えていきます。住民税には所得割と均等割というのがあって、所得割+均等割=住民税として支払っています。このうち、所得割には非課税限度額というのがあり、こちらが28万円~35万円と住んでいる地域によってバラつきがあるのです。
35万円が非課税限度額としたとき、35万円から仮想通貨で得た利益を差し引いてマイナスとならなければ、住民税はかかってきません。
住民税は申告しなくてもバレないのでは?
高齢化社会の進展に伴い納税人口の絶対数は年々減っています。つまり、各市区町村の財政も厳しさが増す一方であり、どの市区町村においても住民税の回収にはこれまで以上の力を入れてきています。
仮想通貨取引によって得た利益額が20万円以下であったときには確定申告義務は生じませんが、自ら住民税の申告をおこなわなくてはなりません。が、実際にはこれをしていない人も多数いることと思います。
しかし、仮想通貨取引所の運営会社は税務署に法人としての確定申告をおこなっています。このときに提出している法定調書には、その取引所を利用して利益を得た人へ支払った金額が明記されており、場合によっては「誰にいくら支払ったのか」についてエビデンスとしてデータ提出をすることだって考えられます。
20万円以下の支払いしか受けていないのであれば、確定申告義務者ではありませんので、その件で税務署よりお咎めはありませんが、市区町村より指摘される可能性が皆無とは言い切れません。
特にマイナンバー制度が導入されていることから、業務が効率化したのは税務署だけでなく、自治体の税務課においても同様です。小さな金額かもしれませんが、あれこれ後々のことを考えて不安を覚えるくらいなら、最初から適切な対応をしたほうがいいものです。
加えて、市区町村が「ある人物」の収入について把握できないと判断した際には、質問状が郵便にて届く場合があります。
いくらの収入を得たのか、どこから収入を得たのか、について記入して返送するものであり、意図的に申告していないのであればそこに0円と書き、扶養されていたとしてみたり、貯蓄で生活していたと表記することでしょう。
しかし、それが事実と違うと判断された場合には、その個人にとってとても都合の悪い証拠を握られてしまうことになりますので、後になって言い逃れをする余地さえなくなってしまうのです。
最後に
住民税は、前年度の1月1日から12月31日の所得に、10%の税率を乗じた金額を、1月1日時点で住民票のある地域を管轄する自治体に6月から納付していきます。
仮想通貨の取り扱いによって得た利益が20万円以上であれば、確定申告をする必要があるので、自動的に自治体にもその内容が伝わり住民税にも反映されます。しかし、もし20万円に届かず確定申告をしなかった場合でも、住民税の申告はしなければなりません。
所得税と住民税は管轄も異なり、それぞれ適切な取り扱いも異なってくるものです。無申告だった場合にペナルティーを科してくるのは税務署だけではありません。
市区町村の税務課も同じですので、自分自身が申告しなければならないのかどうかについては事前に把握しておくことが大切です。後々になってお尋ねが来ることのないように、申告義務があれば適切な対応を済ませておきましょう。
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