2014年のマウントゴックス事件、そして2018年のコインチェック。ハッキングによる仮想通貨の消失が起きました。安全だと思っていた取引所でのハッキング事件はショッキングなものですが、自分の資産は自分で守るというセキュリティーの意識を高くさせたのも事実です。
自分でできるセキュリティー対策として真っ先に上がるのがウォレットです。仮想通貨を保管するウォレットにはいくつかの種類がありますが、今回はその中のひとつペーパーウォレットです。
ペーパーウォレットは数種類あるウォレットの中でも、ハードウェアウォレットと並んでセキュリティ面で優れてウォレットです。ネット環境から完全に切り離して保管した状態をコースドストレージと呼び、ペーパーウォレットやハードウェアウォレットはこれに当たります。
一方、インターネットに接続可能な環境ですぐに仮想通貨を送金可能な状態をホットストレージといいます。今回はコースドストレージとしてのペーパーウォレットの仕組みと使い方について解説していきます。
Contents
ペーパーウォレットの仕組み
デジタルデータでしかない仮想通貨を紙に印刷して保管するのが、ペーパーウォレットです。紙での保管・管理という事で、法定通貨(円・ドルなど)の紙幣や有価証券をイメージする方もいらっしゃると思います。印刷された紙自体に価値はなく、印刷された内容に価値があります。
ペーパーウォレットを含め、仮想通貨のウォレットはビットコインアドレス(パブリックキー)とプライベートキー(秘密キー)の二つで成り立っています。
ビットコインアドレスとは、仮想通貨を利用するに当たっての口座番号のようなものです。ビットコインアドレスは、1または3から始まる27~34文字の英数字からなっています。ビットコインアドレスは口座番号と同じなので、取引相手などに教えても問題ありません。
そして、秘密キーこそがウォレットなど仮想通貨取引に重要な鍵になります。
口座番号に相当するのがビットコインアドレスなら、秘密キーはパスワードだと言えます。仮想通貨のウォレットの仕組みは、パブリックキーとプライベートキーの二つで管理保全されます。
・口座番号だけでは中の仮想通貨にアクセスが出来ない。
・プライベートキーだけではどこの口座なのか分からない。
ペーパーウォレットとは、このプライベートキーとパブリックキーをQRコードに印刷し紙で保管する方法です。
長期の保管が主な目的であり、完全にインターネットから遮断される為、最も安全な管理方法です。ただし、紙に印刷されてあるので、紛失したり、火事で消失したりすると永久に仮想通貨を失うリスクがあります。
また、紙やインクの劣化のリスクもあるので保管場所には注意が必要です。これがハードウェアウォレットとの違いです。また、紙での保管のため、万が一取引所が破綻しても影響を受けず、資産が保証されるメリットもあります。
使い方1・安全なハードウェア・ソフトウェアを用意
安全なハードウェアとソフトウェアとは、ウィルス対策が施され最新版にアップデートされたOS搭載のパソコンと、プリンタドライバを指します。
最新版にアップデートしておく事でセキュリティ対策を万全にし、プリンタドライバも正規のものを使用する事で万が一の事態を回避します。
使い方2・ペーパーウォレット作成ソフトを用意
ペーパーウォレットの作成には、専用の作成ソフトが必要です。
サービスを提供しているサイトはいくつかありますが、ここでは代表的な「bitaddress.org」で説明します。まず「bitaddress.org」にアクセスし、ウェブサイトが完全に表示されたらネット接続を切りオフラインの状態にします。LANケーブルをパソコンから抜くのが簡単です。
ネットを遮断する理由は、外からの影響を最大限に防ぐためです。オンライン状態のまま作成ソフトを実行するのは推奨出来ません。「bitaddress.org」からソースコードをダウンロードして、オフラインにしてからブラウザでダウンロードしたローカルのファイルを開いて実行することを推奨いたします。
使い方3・オフラインで作成ソフトを実行
オフラインのまま、ブラウザを操作してペーパーウォレットを作成します。メニューから日本語を選ぶ事も可能です。
作成ソフトを実行するとアドレスが生成され、左にビットコインアドレス、右に秘密キーが表示されます。この秘密キーは絶対に他人に見せないで下さい。
生成後はブラウザやPC、プリンタのキャッシュを削除しておくとセキュリティ性が高まります。
使い方4・プリントアウト(印刷)
印刷するデザインを選ぶ事も出来ます。お札のようなデザインなどからお好みのデザインを選択してください。
使い方5・プリントアウトしたアドレスにコインを送る
印刷をしたら、ビットコインアドレスのQRコードをモバイルウォレットでスキャンしたりウェブウォレットからビットコインアドレスを入力したりして、ペーパーウォレットに送金します。
これでペーパーウォレットへの仮想通貨移動が完了となりますが、移動取引には時間がかかる場合もあります。ペーパーウォレットの右下に入金額を書き入れておけば管理しやすくなります。
使い方6・ペーパーウォレットからの引き出し
引き出す際には、ペーパーウォレット内の仮想通貨を別のウォレットに送るために、インポート作業が発生するなど利便性が悪いのが、ペーパーウォレットのデメリットです。
【注意点】
ペーパーウォレットの作成方法は、仮想通貨ごとに異なります。
イーサリアムの場合は、「My Ether Wallet」を使った方法があります。My Ether Walletの場合は、ウォレットの中身が全て保管されるので、イーサリアム系のトークンを入れていた場合、トークンも全て保管されることになります。
モナコイン(Monacoin)の場合は、visvirial/monacoin-paperwalletで作成ソフトが入手出来ます。
バックアップの一手段としてペーパーウォレットを考える方もいらっしゃるかと思いますが、ペーパーウォレットは保管であって、予備としてのバックアップではありません。紛失・劣化したりすると永久に仮想通貨を失うリスクがあります。
印刷したペーパーウォレット(QRコード)の取扱には注意が必要です。特に指紋も解析出来るほどの解像度の高いスマホカメラやビデオ、テレビには十分注意をして下さい。
こんな実話もあります。
2013年12月、アメリカのテレビ番組がビットコインの紹介をしました。その時、「ペーパーウォレットもありますよ」と印刷したペーパーウォレットをテレビカメラで映してしまったのです。そこにはQRコードも掲載されていました。
QRコードを全米のテレビで映してしまったのです。その時間、わずか10秒ほどです。しかし、QRコードを放送してしまったばかりに、そのペーパーウォレットに入っていったビットコイン(当時の価格で約20USドル)は即座に盗まれてしまいました。
オフラインでの意外な盲点・・・ブログやSNSでも気を付けたいところです。
ペーパーウォレットの意外な使い方
仮想通貨の保管として使われるペーパーウォレットですが、意外な用途もあります。
それは、ギフトカードやプレゼントのように誰かにペーパーウォレットを渡すことです。
ネット経由で送金するだけでは味気ないものですが、ギフトカードのように印刷してあれば、プレゼントとして手渡したり、郵送などで送ったりできます。この場合はくれぐれも盗難・紛失には注意して下さい。
また、少額の仮想通貨をペーパーウォレットに入金してイベントに来た人に配布する。チップ代わりに海外のレストランなどで使う。お年玉として子どもに少額の仮想通貨を渡す。
など、ユニークな使い方もありますが、ペーパーウォレットから取り出す手間があるので頻繁な取引には不向きです。
最後に
仮想通貨の保管場所としてペーパーウォレットの使い方などをご紹介しました。
ペーパーウォレット以外のウォレットについてはこちらの記事で紹介しています。あわせて参考にしてみてください。
>仮想通貨のウォレットとは?安全に管理するウォレットの役割と種類
>仮想通貨を安全に保管。おすすめのローカルウォレット4選
>仮想通貨を安全に保管。おすすめのハードウェアウォレット
ペーパーウォレットはセキュリティーの強さがある反面、引き出しに手間がかかるデメリットもあります。仮想通貨をどのように運用するかはそれぞれ個人の裁量によりますが、それによって他のウォレットも併用するなどしてウォレットをうまく利用するようにしましょう。
ペーパーウォレットに印刷されたビットコインアドレス、プライベートキーの保全には最大限の注意を払うようにしましょう。
>ICOとは?仮想通貨を使った資金調達を詳しく解説!
>仮想通貨のマイニングの仕組み。マイニングとは?どうなれば儲かる?
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