ビットコインキャッシュとは?BCHの特徴や今後の将来性について

ビットコインキャッシュ
この記事の所要時間: 928

ビットコインの高騰で注目が集まった仮想通貨市場。

しかし、仮想通貨はビットコインだけではありません。その数は日々増えつづけ今では1,000種類を超えるほどまでに。しかし、いくら数が増えているとはいえ、すべての通貨が価値をあげて行くわけではありません。

日の目を浴びることなく消えて行く通貨がほとんどの世界。
せっかく持つなら将来性のある通貨を持ちたいと思うのは当然です。

今回は登場以来注目を集めているアルトコイン「ビットコインキャッシュ」について、通貨の特徴や将来性などを詳しく解説していきます。

ビットコインキャッシュの特徴

特徴

ビットコインキャッシュはその名前の通り、ビットコインに由来するコインです。2017年8月にビットコインのハードフォーク(分岐)によって生まれたばかりの新しい通貨ですが、その3ヶ月後には時価総額が仮想通貨全体の3位となっており、ビットコインと同様に世界中で評価されている仮想通貨といえます。

ビットコインキャッシュが生まれた背景には、ビットコインが抱えていた容量不足への課題があります。

これを解決することを目的としたアップデートによって誕生した通貨がビットコインキャッシュです。よって、構造自体は基本的にはビットコインと似たものとなっていますが、1ブロックの容量が8MBとなっており、ビットコインの8倍に相当するのが特徴的な通貨です。

>ビットコインの分裂!なぜ仮想通貨は分裂を引き起こすのか
 
 
【ビットコインの容量不足問題とは?】
ビットコインキャッシュの特徴を理解するためには、ビットコインの容量不足への理解が必要となりますので簡単に説明していきます。

物理的な通貨を持たないビットコインは、取引のデータをブロックに格納し、ブロックのデータがマイナーと呼ばれる人々によって承認されることで取引が成立します。このブロックの大きさは1MBと決まっており、またブロックは10分ごとに生成されるようになっています。

しかし、近年になってビットコインに注目が集まるようになった結果、急速に取引データが増加することとなり、ブロックの生成が間に合わず、取引が承認されない、というケースが多くなってきたのです。
 
 
【ビットコインキャッシュ誕生のきっかけ】
先に説明したビットコインの容量不足問題を解決するために、BIP91という提案書が提示されました。
BIPとは管理者のいないビットコインをより良いものにしようとするための提案書であり、その91番目のものがBIP91となります。

BIP91によって提案されたアップデートの内容は、取引データを圧縮して収納すること、ブロック自体のサイズを拡張することとなっており、これらは“segwit2x”と呼ばれています。このネーミングの由来は、電子署名を保管する場所を改変することと、ブロックの容量を2倍にすることを合わせたものとされています。

このような施策がビットコインの課題を解消するための最善策であると、ビットコインの開発を担っているBitcoin coreというコミュティが中心となって支持していたのですが、これに反対したのがビットコインのマイニングをおこなっている団体でした。

特に、マイニングの最大手企業であるビットメインはマイニングのために専用のシステムを開発し、これによって巨額を稼いでいました。仮にアップデートがおこなわれると同社のシステムが使用できなくなってしまうためであり、改めて膨大な設備投資が擁されてしまうこととなることが理由です。

その結果、2017年7月にビットコインはハードフォークを宣言し、BIP91の内容ではなく、ブロックサイズを従来の8倍とすることで容量不足問題を解消するものとされ、このときに誕生したのがビットコインキャッシュなのです。

ビットコインのブロックサイズでは、1秒あたり7件ほどのトランザクションが限界とされています。これがどれほどの速度かと言うと、VISAカードの処理速度は1秒あたり2,000件という数字ですので比較にならないほどの遅さです。

しかしブロックサイズが8MBであるビットコインキャッシュであれば32MBまでハードフォークなしに拡張することができ、1秒あたり92件のトランザクションとなっていますので、処理機能は大幅にアップすることとなりました。

これらの使い勝手の向上もあってか、ビットコインキャッシュの支持者は増える一方であり、「ビットコインキャッシュこそが、ビットコインの設計を忠実に守った正統なビットコインである」という主張もでています。
 
 
【SegWit2Xは中止が発表される】
上でご紹介しましたBIP91の提案によるSegWit2Xですが、最終的に開発者とマイナーのあいだでの折り合いがつかずに、2017年11月に中止が発表されました。

この摩擦が存在する以上は市場が混乱してしまう可能性もあったことも一因でしょうが、それ以上にリプレイアタック対策が十分でないことが主となったとされています。簡単に説明すると、ハッキングされて誰かにビットコインが盗まれてしまう可能性があったということです。

ここまで何度か登場してきたマイナーとは、ビットコインの取引を成立させる上で、必要不可欠な取引台帳に記録する作業を担当する人たちのことです。その対価としてビットコインを得ていて業界で大きな力を持ってます。

このようなマイナーが団結して反発すれば、ビットコインを送金することができなくなってしまい、通貨としての本来の目的さえも失うこととなることから、ビットコイン開発者サイドもSegWit2Xを中止とせざるを得なかったのが実情です。

>仮想通貨のマイニングの仕組み。マイニングとは?どうなれば儲かる?
 
 
【ビットコインキャッシュのデメリット】
ビットコインよりもはるかにトランザクションに優れたビットコインキャッシュではありますが、デメリットもいくつかあります。まずは、実際に使用できる場所がビットコインに比べて圧倒的に少ないと言うところでしょう。

ビットコインのハードフォークによって生まれたビットコインキャッシュを各所で使えるようにすることは決して難しくないはずです。しかし、なかなかそれが実現されないままですので、どれだけ処理能力に優れたものであったとしても十分に流通しなければ意味をなしません。

加えて、ビットコインキャッシュも、政治的な思惑を大きく受けています。SegWit2Xのアップデートが中止となったように、開発者やマイナーの衝突をはじめ、取引所や利用者のビットコインキャッシュに対する評価の動向によっては、ビットコインの枝分かれ的な存在である以上、ビットコイン以上に安定性を欠くものと言わざるを得ません。

このような背景が今後の取引価格に大きな影響を及ぼすこともありますので、それらも含めながら今後の価値判断をしつつ、投資していくことが大切です。
 
 
 

これまでの価格推移

価格推移

ビットコインキャッシュは、2017年8月にビットコインのハードフォークによって誕生したばかりの新しい仮想通貨です。

当時の価格は1ビットコインキャッシュあたり3万円ほどであり、マイニングも当然に進んでおりませんでしたが、すぐに10万円を超え、取引高ではビットコインを超えることもありました。

仮想通貨の暴騰が話題となった2017年12月には、ビットコインキャッシュも例に漏れない値動きを繰り返し、40万円を超えるなど短期間で高い評価を受ける仮想通貨へと成長しており、2018年1月においても、10万円を超えて価格推移していることから、相応の安定性も感じられるといえるでしょう。
 
 
 

ビットコインキャッシュの将来性

ビットコインキャッシュは上記した通り、ビットコイン開発者と、相場に強い影響力を持つマイナーとが折り合いをつけながら生まれてきた背景があります。

Bitcoin.comの創設者であるロジャー・ヴァー氏や、世界最大のマイニング企業Bitmain社のジハン・ウー氏など、ビットコイン業界でも高名な2人の熱烈な支持者に支えられていることもあって、今後の状況推移によってはビットコインに変わるコインとして流通していくという可能性も否定できません。

ビットコインの取引高を上回った日もあれば、誕生してすぐに仮想通貨のなかで第3位の時価総額を記録するなど、当初より信用性が担保された仮想通貨がビットコインキャッシュであるといえます。

今後のビットコインキャッシュの動向を探る上で見逃せないのがマイナーの動きに他なりません。影響力ある彼らの発言はもちろんなのですが、それ以上にマイニングによってどれほどの売り上げが得られているのかに注目すべきです。

ビットコインキャッシュはトランザクションが増えたからといって、生成時間はビットコインと同じく10分となっており、マイニングで要される時間は変わりません。しかし、その対価として得られるコインの価格には開きがありますので、マイニングをして得られる報酬も同様の乖離となることから、マイナーにとっては従来通りにビットコインのマイニングを継続していたほうが利益となります。

しかし、これはこの先の値動きで変わってきます。短期間で値を上げてきたビットコインキャッシュが、このまま右肩上がりで価値を得ていけば、マイナーがビットコインキャッシュをマイニングすることのメリットが大きくなり、価格と流通量によってはビットコインのマイニングから得られる報酬以上となる可能性もあります。
 
 
 

最後に

上記のような動きを予見するかのように、ビットコインのATMでもビットコインキャッシュが利用できるようになるなど、ビットコインキャッシュが抱えていた「使用可能な場所が少なすぎる」という課題の解消は進んでいます。

他のアルトコインの名前も一般的なものとして浸透していることと相まって、より使用可能な場所が増えていくことでしょう。

やはり、ビットコインキャッシュはビットコインより派生したものであるという強みを持っており、既に高騰してしまったビットコインに比べて割安感もあることから、これから仮想通貨投資に参入する人々にとっては投資しやすいものとして映りやすいでしょう。

まだ開発が進んでいないからこそ、更なる付加価値を得ていく伸びしろがあるため、今後のビットコインキャッシュを取り巻く環境の変化からは目が離せません。


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